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キサゲ仕上げ 動画







キサゲ作業は、形削り盤や平削り盤などで切削加工した平面や、旋盤で仕上げた
軸受ケの内面を、さらに精度の高い面に仕上げるためにキサゲ(Scraper)という工
具を使ってごく少量ずつ削り取る精密加工方法の一つです。まったくの手作業であ
り、職人技の作業でありますがスリ合ワセ定盤や工作機械のスベリ面などの仕上
げには、欠くことのでききない作業であって、仕上げ・組立作業の中でも重要な作
業になっています。
キサゲ作業は、基準になる平面または軸を工作物にすり合わせてアタリをとり、
高い部分をキサゲで削りとっていくのでスリ合ワセ作業といわれています。
しかし、キサゲを使って加工面に単に模様をつける作業もあります。
加工面の真直度・平面度または平行度だけを問題にするのなら、精密な研削盤
による仕上げで足りるわけです。ところがスリ合ワセ加工面は研削仕上げと同様ま
たはそれ以上の精度が得られるばかりでなく、その面に小さく浅いミゾが分布する
ので工作機械のスベリ面などの潤滑がうまくできるという特徴があります。スリ合
ワセ定盤の仕上げでは、三枚合わせという方法でスリ合ワセすれば、精密な基準
がなくても、きわめて精度の高い平面が得られるのもキサゲ作業の特徴です。
キサゲ作業は超精密仕上げ方法の一つであるだけに、充分に練習を積んで熟練
することが必要であることはいうまでもありません。
 摺り合せの精度を表すのに、ツボ当たりまたはパーセント当たり
という言葉が使われる。ツボ当たりというのは、摺り合せ面の単位
面積(25.4×25.4mm) に黒当たりがいくつあるかで、その平面の精
度を表す方法であって、当たりが多いほど精度が高い。摺り合せ
面全体の精度は、ツボ当たりが平均に分布しているのが高い。例
えば、ツボ当たりの数がEの部分は12、Fの部分は23、Gの部分は
7であるというように、黒当たりが平均していないのは制度が低いわ
けである。
 パーセント当たりは、摺り合せ面の総面積に対し、黒当たりの面
積が何%であるかによって精度を表す方法である。黒当たりの面
積が多いほど精度が高いことになるが、スベリ面では油膜生成の


図 : 黒当たりと油だまりの分布
関係があるから、黒当たりの粒がそろっているほうがよい。面全体としてはツボ当たりと同じく、均等に分布しているのがよいのである。上図
は黒当たりと油だまりの分布を示したもので、E、F、G、H ・・・・ は黒当たり面、1、2、3 ・・・・ は油だまりで、ともに均等に分布している。
ツボ当たりが多いと同時にパーセント当たりが多いのが理想であるが、ツボ当たりを多くするために小さい当たりが多くなっても、パーセント
当たりが少なくなることがある。そのような面は、スベリ面としては磨耗が早くて不安定であって、適当ではない。現場では、ツボ当たりの方
が多く用いられているが、パーセント当たりの方が精度を正確に表すことができる。摺り合せ面の用途に対するパーセント当たりの標準は
つぎのとおりである。

超精密面(測定検査器具の基準面) 精密面(工作機械の摺り合せ面) 並面(大物取り付け面・機械加工面)
 @ 小型測定検査器具・基準定盤・・・45%  @ 工作機械のスベリ面・テーブルスベリ面    
    摺り合せ工具の基準面・・・30%
 @ キサゲ仕上げの初期・・・30%
 A 検査用定盤・・・45%  A 機械加工面・・・20%
 A 旋盤主軸台・心押し台の底面・・・25%
 B すべり合わない精密組み立て部品、テーブル
    の上面・・・30%
 C ボルト・ビス・ネジなどで取り付ける接触面・・・30%

(a) V型案内 (b) 逆V型案内 (c) 平型案内
(V型と対で用いられる)

         
(d) 角型 (T形) 案内
(A、B、C面で荷重を受ける)
(e) ばち型 (アリ) 案内