キサゲ作業は、形削り盤や平削り盤などで切削加工した平面や、旋盤で仕上げた
軸受ケの内面を、さらに精度の高い面に仕上げるためにキサゲ(Scraper)という工
具を使ってごく少量ずつ削り取る精密加工方法の一つです。まったくの手作業であ
り、職人技の作業でありますがスリ合ワセ定盤や工作機械のスベリ面などの仕上
げには、欠くことのでききない作業であって、仕上げ・組立作業の中でも重要な作
業になっています。
キサゲ作業は、基準になる平面または軸を工作物にすり合わせてアタリをとり、
高い部分をキサゲで削りとっていくのでスリ合ワセ作業といわれています。
しかし、キサゲを使って加工面に単に模様をつける作業もあります。
加工面の真直度・平面度または平行度だけを問題にするのなら、精密な研削盤
による仕上げで足りるわけです。ところがスリ合ワセ加工面は研削仕上げと同様ま
たはそれ以上の精度が得られるばかりでなく、その面に小さく浅いミゾが分布する
ので工作機械のスベリ面などの潤滑がうまくできるという特徴があります。スリ合
ワセ定盤の仕上げでは、三枚合わせという方法でスリ合ワセすれば、精密な基準
がなくても、きわめて精度の高い平面が得られるのもキサゲ作業の特徴です。
キサゲ作業は超精密仕上げ方法の一つであるだけに、充分に練習を積んで熟練
することが必要であることはいうまでもありません。 |